2024/10/14
その他
「セルフメディケーション税制」
セルフメディケーション税制は、日本における医療費控除の特例措置の一つであり、OTC(市販薬)医薬品の購入費用が高額になった場合に適用される制度です。一般的に、医療費控除は、医療機関で処方された医薬品や治療費などを対象としていますが、セルフメディケーション税制によって、自己判断で市販薬を購入する場合にも所得控除の対象となることが可能となります。ただし2026年12月31日までとなっています。
この制度の目的は、市販薬を活用することで自己の健康管理を促進し、医療費の負担軽減を図ることにあります。市販薬を購入することで軽減できる症状がある場合、早期の対処や予防を行うことで、医療機関を受診する必要がなくなり、医療費の削減にもつながるという考え方が背景にあります。
セルフメディケーション税制は、日本における特別な医療費控除制度の一つであり、市販されている風邪薬などのOTC医薬品の年間購入総額が12,000円を超える場合に適用されます。この制度では、12,000円を超える金額について、88,000円を限度として所得金額から差し引くことが可能となります。
OTC医薬品は、一般のドラッグストアやスーパーマーケットなどで手軽に購入できる市販の医薬品であり、一定の症状や健康管理に役立つものが多く含まれます。セルフメディケーション税制は、このような市販薬を利用することで、自己の健康管理を支援し、医療費の負担を軽減することを目的としています。
年間購入総額が12,000円を超える場合、88,000円を上限として所得金額から差し引くことができるという特典が提供されます。具体的には、本人や扶養家族の医療費が一定額を超えた場合に所得控除の対象となります。その中で、OTC医薬品の購入費用が高額になった場合、その一部を医療費として計上し、所得控除の対象とすることができるのがセルフメディケーション税制の特例です。12,000円を超える金額について、88,000円を限度として所得控除を受けることができるため、所得税を軽減する効果が期待されます。
ただし、セルフメディケーション税制を活用するためには、確定申告が必要となります。確定申告を通じて、OTC医薬品の購入金額を適切に計上し、所得控除を受けるための手続きを行うことが必要です。また、12,000円を超える金額については、レシートや領収書などの購入証明書を保存しておくことが重要です。
セルフメディケーション税制と通常の医療費控除にはいくつかの違いがあります。通常の医療費控除では、病院での治療費や薬代、通院の交通費など、身体を治すためにかかった費用のほとんどが対象となります。一方、セルフメディケーション税制では、共通識別マークがついた市販薬に限られます。
医療費控除では、医療費の年間総額が10万円以上である場合に適用を受けることができ、最高控除額は200万円です。ただし、その年の総所得金額が200万円未満の場合、最高控除額は総所得金額の5%の金額となります。一方、セルフメディケーション税制では、市販薬の年間購入総額が12,000円以上である場合に適用を受けることができ、最高控除額は88,000円です。
購入金額は「税込価格」であり、割引がある場合は「割引後価格」が対象になります。セルフメディケーション税制は、市販薬を購入する際にも一定の負担を軽減することができる制度であり、健康管理に貢献する一方で、所得に応じた控除額を受けることができる仕組みとなっています。
医療費控除額=医薬品の購入額-12,000円
通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらも医療費を軽減するための制度ですが、両者の併用はできないという点に留意する必要があります。つまり、同じ医療費に対して両方の控除を適用することはできません。
医療費控除は、病院での治療費や薬代、通院の交通費など様々な医療に関する費用が対象となります。一方、セルフメディケーション税制は、市販薬に特化した控除制度であり、共通識別マークがついた市販薬の購入費用が対象となります。両者の対象範囲や控除の上限額などが異なるため、試算を行い、より大きな控除額を得られる方を選択することが重要です。
控除額が大きいということは、最終的な所得税が低くなるという利点があります。したがって、医療費に関する控除を適切に活用することで、税負担を軽減することが可能となります。両制度を理解し、適切に活用することで、医療費にかかる負担を軽減し、健康な生活を送るための一助となるでしょう。
例えば、1年間で5万円のOTC医薬品を購入した場合、控除される金額は、
50,000-12,000=38,000円
です。
課税所得が500万円の場合、所得税率は20%、住民税率は10%ですので、
所得税:38,000円×20%=7,600円
住民税:38,000円×10%=3,800円
合計:7,600円+3,800円=11,400円
住民税:38,000円×10%=3,800円
合計:7,600円+3,800円=11,400円
11400円減税となります。
所得税の税率は所得によって異なるので、所得の多い方は減税額がより大きくなります。(住民税率は同じです。)
セルフメディケーション税制は、自己の健康管理に貢献するとともに、医療費の負担軽減を図るための制度であり、正しく活用することで節約効果を享受することが可能です。ただし、適用条件や手続きについては正確な情報を入手し、適切に対応することが重要です。
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この記事を書いた人
歯科医師
上垣 公彰
プライベートでは2人の父親です。
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