2025/03/04
予防歯科
「NCCLがあなたの歯に潜む!知ってください」
非う蝕性歯頸部歯質欠損(NCCL:noncarious cervical lesion)は、歯の歯頸部において、う蝕や虫歯の進行とは無関係に歯質が減少する状態を指します。この病態は、歯科医療の現場においてよく見られる問題であり、その原因や治療法について継続的な研究が行われています。
非う蝕性歯頸部歯質欠損(NCCL)は、歯冠部の歯頸部(歯の根本と冠部がつながる部分)において、非う蝕性の要因によって象牙質の欠損が生じる疾患です。この病態は、主に象牙質の欠損が見られ、エナメル質は含まれていても歯冠部マージン(歯の冠部と歯肉の接する部分)のごく一部に限られます。したがって、歯冠部のエナメル質は一般的に欠損が少ないことが特徴となります。
NCCLにおいて象牙質の欠損が生じる主な原因として、歯肉退縮が挙げられます。歯肉退縮とは、歯肉が後退してしまうことで、本来歯肉に覆われているべき象牙質が露出してしまう現象のことを指します。歯肉退縮が進行すると、歯冠部の歯頸部が露出し、外部刺激や摩擦などの要因によって象牙質に負担がかかり、欠損が生じる可能性が高まります。
歯肉退縮による象牙質の露出は、口腔内の環境や個人の生活習慣、加齢などの要因によって引き起こされることがあります。歯肉が過度に刺激を受けたり、清掃不足によって炎症が生じたりすると、歯肉が後退しやすくなるため、NCCLのリスクが高まると言えます。
歯肉退縮が進行すると、歯冠部の歯頸部が露出して象牙質が負担を受けることにより、歯質の欠損が進行します。この状態が放置されると、歯の神経や血管が露出する可能性もあり、歯の感覚過敏や炎症を引き起こすことがあります。
NCCLの治療法としては、まずは歯肉の健康状態を改善することが重要です。歯周病などの歯肉疾患がある場合は、それらの治療を行うことで歯肉の健康を取り戻し、歯肉退縮の進行を抑えることができます。また、適切な歯科ケアやブラッシングの指導を受けることで、歯肉の刺激を最小限に抑えることも重要です。
歯冠部の歯頸部に生じたNCCLの欠損に対しては、歯科医師による歯科治療が必要となります。一般的な治療法としては、欠損した部分の充填や修復、歯の表面を保護するためのセメントやコンポジットレジンの装着などが行われます。これにより、歯の感覚過敏や炎症の症状を軽減し、歯の機能や美しさを保つことが可能となります。
NCCLは、歯冠部の歯頸部に象牙質の欠損が生じる疾患であり、歯肉退縮が原因となっています。適切な歯科治療や歯科ケアを行うことで、歯肉退縮の進行を抑え、歯質の欠損を予防することができます。定期的な歯科健診や専門家の指導を受けることで、歯の健康を守り、NCCLのリスクを低減することが重要です。
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この記事を書いた人

歯科医師
上垣 公彰
プライベートでは2人の父親です。
2人ともむし歯はありません!!
私が実践した、こどもをむし歯にしない方法をお伝えします。
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